必要となるギア比から必要となる変速数を判断する

エントリークラスのロードバイクを購入してしばらく経つものの『コンポーネントのグレードを上げる(※変速数を増やす)べきなのかどうか判断できない』という方におくるTIPSです。

使うギアの範囲から必要変速数は決まる

「変速数」というものはスポーツ自転車全般にとって性能を示す重要な指標です。ロードバイクにおいてそれは特に重要となるため『最低で105グレード』なんて言葉がネット上を飛び交っていたりします。

『最低105』というのは概ね正しいことですが、全てにおいて正しいわけではありません。ケースバイケースで変わってくるため断言することは不可能です。

このケースバイケースを決める要因はいくつかありますが、最も大きいものは「どこを走るのか」という要素です。

ざっくりと言えば『平地しか走らない』のであれば11Sは不要となります。フロントをシングル仕様にしていたとしても9Sもあれば十分でしょう。

何故こんなことが言えるかというと、平地であれば必要とされるギア比の範囲がとても狭くなるからです。


ロードバイクを街乗りで使っているようなデビューユーザーさんは大抵の場合で『フロント変速なんて使ったことない』と言いますが、その理由がコレになります。

街乗り(=平地走行)であれば変速の出番はとても少なくなるのでフロント変速を使わないのは当然です。ママチャリを思い出せば納得できるところでしょう。3速くらいしか変速数がないものでも皆さん普通に使っています。

そんなわけで、こういう場合においては変速数を増やしたところで特段の意味はありません。使わないギアは装備したところで無駄な重りです。

これは逆を言えば『ギアを使う範囲から変速数を決めることが可能である』とも言えます。

11Tから21Tまでは2T刻み以下に

フロントギアの歯数をリアギアの歯数で割ったものを「ギア比」と言います。これはスポーツ自転車の基本と言える大切な要素です。

変速数が多ければ多いほどこのギア比を選択できる幅が増えます。ギア比を選択できる幅が増えるということは「小刻みな調整」が可能になるということなので、自分の体力・筋力といったものを効率良くマネジメントできるようになります。

この調整幅から必要な変速数を導きださないといけないわけですが…これは試行錯誤を繰り返さないと見えてこない部分があるため実際のところかなり面倒だったりします。

そんなわけで、ここでは「ホビーライダー的には大抵の場合でこの辺に収まる(はず)」というリア歯数を勝手に提示してしまうことにします。

…で、そのリア歯数ですが「最低でも11Tから21Tまでは2T刻み以下」になっているものを選ぶようにしてください。

具体的な例を出せば「11T/13T/15T/17T/19T/21T」の6枚は固定しておくということです。これは8Sでも11Sでも変わりません。

とはいえ、8Sの場合は残り2枚までしか使えないので大型のギアを付けることが難しくなります。既存の8Sスプロケットであれば「11-28T」が最大です。「11-30T」だと17Tの次が20Tになるので適しません。

これを一般的なスプロケットの歯数で羅列すると以下のようになります。この辺りはメーカーで違いがあるため完全ではありませんがひとつの基準にはなるはずです。

・8S → 11-28T以下
・9S → 11-28T以下(※11-30T以下)
・10S → 11-34T以下
・11S → 11-36T以下

このように考えると必要な変速数を逆算することが可能になります。

つまり、現状が「8S+リアスプロケットが11-28T」という状態で『別に困っていない』のであるなら変速数を上げても効果的ではないということです。

言い換えれば「8S+リアスプロケットが11-28T」で困る(=坂が上れない)場合は『変速数を増やした方が良い』ということでもあります。

ロードバイクにおいて変速数というものは必ずしも絶対的な要素にはなりません。コンポーネントのアップグレードは自分にとって必要なギア比をきちんと認識してからはじめましょう。

参考ギア比

参考資料としてシマノのロードバイク用コンポーネントで発生するパターンのギア比を記載すると以下のようになります。

設定しているリアスプロケットは11-34Tの11Sです。これはシマノR7000系リアディレーラー(GS)が対応している最大歯数となります。
 
11-34T 34 36 40 50 52
11 3.09 3.27 3.64 4.55 4.73
13 2.62 2.77 3.08 3.85 4.00
15 2.27 2.40 2.67 3.33 3.47
17 2.00 2.12 2.35 2.94 3.06
19 1.79 1.89 2.11 2.63 2.74
21 1.62 1.71 1.90 2.38 2.48
23 1.48 1.57 1.74 2.17 2.26
25 1.36 1.44 1.60 2.00 2.08
28 1.21 1.29 1.43 1.79 1.86
31 1.10 1.16 1.29 1.61 1.68
34 1.00 1.06 1.18 1.47 1.53

青い数字がコンパクトクランク(フロント50T/34T)の組み合わせとなり、赤い数字がノーマルクランク(フロント52T/36T)の組み合わせとなります。黒い数字である40Tはフロントシングルクランクの場合です。

11Sだとリアスプロケットを最大にしても『21Tまでを2T刻み』…どころか25Tまで2T刻みにすることが出来るのでとても楽になります。

ちなみにリアを28Tにすると以下のようになります。
 
11-28T 34 36 40 50 52
11 3.09 3.27 3.64 4.55 4.73
12 2.83 3.00 3.33 4.17 4.33
13 2.62 2.77 3.08 3.85 4.00
14 2.43 2.57 2.86 3.57 3.71
15 2.27 2.40 2.67 3.33 3.47
17 2.00 2.12 2.35 2.94 3.06
19 1.79 1.89 2.11 2.63 2.74
21 1.62 1.71 1.90 2.38 2.48
23 1.48 1.57 1.74 2.17 2.26
25 1.36 1.44 1.60 2.00 2.08
28 1.21 1.29 1.43 1.79 1.86

15Tまで1T刻みになっているので最高に細かい微調整が可能です。

フロント歯数に注目してみると、ここが大きい場合はリアを小さくしないと間隔が開きすぎて困ったことになることも見えてきます。そんなわけで「前歯数が大きくて後歯数が小さいロードバイク」から乗り手の技量を推測することが出来たりもします。
 

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