人間は老いるということもありますのでホビーライダーにとってはとりあえず恩恵です。いずれクランクもよりコンパクト化されることでしょう。「超コンパクトクランク+ノーマルサイズスプロケット」がホビーライダーの未来です。
とはいえ、これはこれから先の話であって今現在の機材とは関係がありません。
特に古い機材だとギア比を小さくするのは結構な手間です。キャパシティそのものが小さく設定されているということもありますが、そもそもとして対応機材の入手が困難です。シマノの互換性マニュアルを見て『これなら使える』と思って商品を調べても既に生産終了ということは珍しくありません。
正確に書けば、シマノは「追加生産」ということをまずやらないので新製品であろうと市場にリリースされた時点で生産は終了していたりするのですが…まぁそれはそれとして商品が手に入らないことは同じです。
パーツが手に入らないならどうしようもない…と言いたいところですがサードパーティメーカーを調べると面白いものが販売されていたりします。
…というわけでリアディレイラーのオフセットアダプタの話です。
リアディレイラーのオフセットアダプタとは何か
リアディレイラーオフセットアダプタとは、その名の通りリアディレーラーを(下方向に)オフセットするためのアダプタです。アリエクで買ったスプロケットにおまけとして付いてきました。中華通販や台湾通販だとこういう小物が意図せずに付属してくることがしばしばあります。
大型スプロケットに対応するためにはリアディレーラーのアーム長さが必要ですが、この部分はユーザーでどうこうできるものではありません。
…いやまぁ最近の製品であればまだスモールパーツとしてケージが販売されていたりしますし、これを機にとばかりにビッグプーリーを導入したりもできます。しかしながらオールドパーツだとこういった『ディレーラーそのものを改造する』というアプローチは期待できません。
そんなわけで、リアディレーラーの「付け根部分」を無理やり延長して長さを稼いでしまおう…というのがこの商品です。
実際に付けるとこんな感じになります。
パッと見た感じでは分かりませんがよく見ると『なんか長い』ということに気付くと思います。
裏側はこんな感じです。こちらかから見た方が分かりやすいかもしれませんね。
リアディレイラーのオフセットアダプタは使えるのか
結論から書けば、ロードバイクにはほとんどの場合で使えません。使えない理由は「細かい変速が出来なくなるから」です。オフセットアダプタを使うと元から設定されていたスラント角がほぼ意味をなさなくなってしまうんですね…まぁ当たり前ですけれども。
これについてはブランコや振り子をイメージすると分かりやすいでしょうか(※スラント角について説明しだすと逆に分かりにくくなるのでこれは省略します)。
2つのブランコをイメージしてみて下さい。ひとつは公園にあるものでチェーンの長さは2m、もう一つはトイザらスで売られているようなものでチェーンの長さは1mです。それらのブランコに子供がそれぞれ座っているとします。
では、その状態でそれぞれの背中を水平方向に50cm押したとしましょう。当然のことながら2mのブランコの方がゆるやかな角度になりますね。これが3mだともっとゆるやかになります。
リアディレーラーの変速原理はこれと同様です。リアディレーラーはこの角度部分で変速を切り替えているためオフセットを長くすればするほどこの角度は小さくなってしまいます。そんなわけでロードバイクのような小刻みな変速は出来なくなります。
…とはいえ、MTB・クロスバイクのように歯数にスパンがある場合や、ロードバイクであってもMTBのようにスプロケットを極端に大型化する場合はまた少し事情が変わります。
「細かい変速に対応できない」ということは「大きな変速であれば対応できる可能性がある」ということです。
先ほどの例に追加して説明すると『10速RDをオフセットして32Tスプロケットを付ける』のは無理でも、『8速RDをオフセットして42Tスプロケットを付ける』或いは『10速RDをオフセットして50Tスプロケットを付ける』ことは出来る…かもしれないということです。
変速数が少なければ少ないほどストローク量が厳密ではなくなりますし、スプロケットが大きければ大きいほど角度の変化が小さくなります。結果として対応できる可能性が高くなるわけです。
もちろん「実際にやってみないと分からない」わけですが、スプロケットを大型化することが確定している場合はオフセットパーツを使ってみるのは面白いかもしれません。
上手くいけばリアディレーラーを買い替えることなくスプロケットを大型化できます。オフセットパーツは200円くらいですからね。上手くいかなくても経済的なダメージは発生しません。
RD-5700Aに32Tは無理でした(おまけ)
今回はRD-5700Aに32Tを付けたかったのですが…残念ながらこれは無理でした。むしろアダプタを挟むとより悪化します。ちなみにアダプタ未使用の場合はどう調節してもインナートップかアウターローのどちらかが犠牲になります。チェーンが長いとインナートップの場合にプーリーとチェーンが接触し、チェーンが短いとアウターローで詰まります。
チェーンが詰まるのはどうしようもないので実質的に犠牲にするのはインナートップです。
まぁ言い換えれば「インナートップを使わなければいいだけ」ということでもありますので、インナートップを使わないような乗り方をしている場合は使えないこともありません。
しかし5700Aって何だったのでしょうね。5700AはSSもGSもシマノ公式による最大対応スプロケットのサイズが30Tと変わりません。
・RD-5700A-SS(サイクル吉田)
https://www.cycle-yoshida.com/pc/syousai.php?SYOCODE=00616657
・RD-5700A-GS(サイクル吉田)
https://www.cycle-yoshida.com/pc/syousai.php?SYOCODE=00616658
まぁトータルキャパシティは違いますけれど。そこを変えるくらいならスプロケサイズも変えれば良かったのにと思えてなりません。
5800系だったらこんな面倒なことをやらなくていいのになぁ…。
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