ことロードバイクということになるとカーボンを抜きにしては成立しない状況です。今や『最初の一台からフルカーボン』であることさえごく当たり前となっています。
このような状態にあるせいか油断してしまいますが、カーボンというのはどうあってもデリケートな素材です。多くの場合で「大丈夫」であったとしても、慎重に扱って損をすることはありません。
…というわけでモトレックスのカーボンペーストの話です。
・トルクに関する誤解(割と重要)
カーボンパーツにおける重要ポイントは「トルク管理」ですが、これは多くの場合で誤解されている面があります。その誤解とは『トルクレンチを使って出た数値が正解となる』というものです。
これは必ずしも正解となるものではありません、例えばですが、フォークコラムやシートポストだと多くの場合で不正解となります。
何故かと言えば、これらの場合はボルトに対する摩擦抵抗を測っているに過ぎないからです。フォークコラムにしろシートポストにしろ完全な正円ではないため、「ボルトの摩擦抵抗=固定力」とはなりません。
思いっきりガタガタしている円を想像すれば分かりやすいのではないでしょうか。仮に正しい目安とされている5Nm~6Nmで固定していたとしても、円が明らかに不均等であれば振動で簡単にズレてしまうことがイメージできると思います。
このように、トルクは「精度がきちんと出ていること」を前提にしている理想値です。
そのようなわけで『安価なパーツであってもトルクレンチで管理しとけば大丈夫でしょ?』という発想は危険です。これは寧ろ逆効果です。精度が下がれば下がるほどトルクレンチを使う意味が無くなります。
トルクレンチが正しく機能するのはフレームにねじ切りBBを取り付けるような場合です。こういった場合であれば「ネジ部分の摩擦力=固定力」となるためトルクの指定が意味を成します。
実際に、シマノはネジ摩擦力が直接固定力となる場合にしか厳密なトルク数の指定を行っていません。
トルク管理の究極は「固定できる最小のチカラで止めること」です。それ以上の締め付けは無意味ですし、この塩梅は計算で導くことができるようなものでもありません。
最終的に行き着くところはフィーリングです。トルクレンチを使っていないからといって「悪」にはなりません。
・リスクを下げる = モトレックス
つまるところ、カーボンパーツは『より小さいチカラで固定できているほど良い』わけですが、この部分をアシストしてくれるのがモトレックスのカーボンペーストです。このペーストを塗るとパーツ間の摩擦力を増幅させることができるようになるため、結果として締め付けるトルクを小さくすることが可能になります。
そのようなわけで、等ブログのようにアヤシゲな中華パーツを多用する場合は是非とも保険として所有しておきたい一品です。
問題点は量と価格でしょうか。品質としては間違いなく素晴らしいものですが、このペーストは無駄に大量で使い切るのが非常に困難です。
シマノグリスとの比較する図
中身を見る図
このペーストはごく少量で効果を発揮するので(※本当に塗り過ぎ注意です)、お店をやっている場合であっても果たして使い切れるかどうか分かりません。
個人ユースであれば確実に使いきれないことを断言します。
フォークコラムに塗る図
『慎重に扱うべき』…と言ったところで塗ることになる箇所はせいぜいフォークコラム・シートポスト程度です。この2か所にちょんちょんと塗るだけなので消費するはずがありません。
結果として余りに余ってしまうわけですが、残念なことにMOTOREX Carbon Pasteは100gサイズしか販売されていません。
…まぁ、走行中にハンドルの付け根が折れたりする方がよほど残念なことになってしまうことは言うまでもありません。
個人的には少しでもリスクを下げるために「必須」な道具だと思っています。容量の小さいサイズを売ってくれたら最高なんですけどねぇ…。
・参考購入先
いつものようにアリエクスプレスから…と書きたいところですが、このような特殊グリス系は流石に中華サイトでも販売されていません。…というわけでamazonからの購入です。グリスに過ぎませんがお高いです。
https://amzn.to/39bPZcr
正確に書けば中華サイトでもそれっぽいものは販売されていたりするのですが効果が弱かったら無意味ですからね。出し惜しみしてはいけない部分です。
・トルクレンチは無意味なのか?
あれこれと書きましたが決して無意味ではありません。例え理想値であったとしても最小トルク値を確認するという作業は有効です。個人的にも「答え合わせ」のために使用しています。
自分の感覚と併用しながら使っていくとより正解に近づくことができます。
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