<知識編>ボロボロになった床にフローリング板を重ね張りする①

我が家はかなりの年季が入っています。

正確な築年数は把握していませんが最低でも50年は経過していることが確認済みです。半世紀前の住宅なので断熱材というものがなく、床一枚剥ぐと土が見えます。布基礎ですらありません。冬季の寒さがきびしいです。

この低機能ぶりは内部の造作にも及び、具体的には床材への影響が深刻です。

床板が二昔以上前のお安い合板で出来ているため現代住宅のような耐久性・耐水性はありません。一般的には『20年すれば…』というものに対して50年という使用年数です。そんな板の上で固定ローラーを長年回せば当然のことながら「限界」がきます。

限界の図

2年3年前から『なんとかしないと…』と思っていましたが、いよいよ床板が抜けそうになってしまったので急遽セルフリフォームをしてフローリング板を重ね張りしました。

今回の内容はこの「フローリング板の重ね張り」に関するアレやコレやです。

ちなみにこれから家を建てるという場合は1階の床材は30mm厚くらいにしておいた方がよろしげです。自転車に関しては素人ですが、建築に関しては一級建築士資格を持っているのでそれなりに信用できる…と思います、たぶん。

普段書いている自転車のアレコレと違って重要な内容なので記事を全体で3分割しています。 参考にされる場合はなるべく丁寧に読んでいってください。


・おおまかな作業手順としてはこんな感じ

まずは全体の作業手順を把握しましょう。かなりざっくりと説明すると以下のような感じになります。

①フローリング板を購入する
②板を部屋の寸法に合わせてカットする
③カットした板にワックス・オイル等を塗る
④板に接着剤を塗って床に打ち付ける

流れとしては簡単ですが注意すべき点は多数あります。②と③の順番は逆でもかまいません。時間を短縮する場合は逆の方が楽です。

・直接フローリングを貼ってOKなのか考える必要がある

頑丈な床を目指す場合は、新しいフローリングを張る前に下地として構造用合板を貼った方が正解です。「既存フローリング板」「構造用合板」「新フローリング板」の三段構えになるということですね。

下地に構造用合板を使うと床が頑丈になるだけではなく不陸(※水平ではない状態)の調整をすること出来ます。

フローリング板の重ね張りは下地の状態に左右するため、下地が湾曲していたりすると新しく張ることになるフローリング板も並行して湾曲することになります。これはかなりの問題です。

今回は部屋の面積が小さく損傷が局地的であったので張りませんでしたが、フローリング板の重ね張りする場合はなるべく構造用合板を下地に挟むことを前提にしておいた方が正解です。

・フローリング板はどこで買えば安いのか

DIY作業においてもっとも気になるのがこの点でしょう。

材の価格というものは木の種類や状態(※節があるかどうか等)で変わってくるので一律でどうこう言えるものではありませんが、実は(?)yahooショッピングや楽天で販売されているものが最安となる場合がしばしばあります

フローリング板の通販サイトとしては「無垢フローリングドットコム」というところが最大手なのですが、実のところこのサイトはお安いわけではありません。

・無垢フローリングドットコム
https://www.muku-flooring.com/

取り扱っている材の種類が豊富なので業者目線では助かる良いサイトです。とはいえ、素人DIYで床材を選ぶ場合はせいぜい「杉」「ヒノキ」「パイン材」の3択ですので大量の選択肢があってもしかたがなかったりします。

価格の話をすると、yahooショッピングでは例えばヒノキだと送料込みで3000円/㎡弱程度で販売されているものがあります。

無垢フローリングドットコムだと安くても5000円/㎡程度が相場となっており、これに送料が乗ってくると単価としては倍以上の差になります。yahooショッピングだとさらにポイントが貰えたりするので価格面では勝負にならないと言える状態です。

…まぁ木材というものは在庫がホイホイと追加されるものではないのでyahooショッピング内で常時購入できるというものではなかったりしますが、予算を抑えたい場合はまずここからチェックした方が正解となります。

さらにお得な買い物をしようとする場合は<このポイントサイト>を経由するとmore Goodです。

・フローリング材は何をどう選べばいいのか①

床には湿気に強いヒノキを使うのがセオリーと言えますが、杉であっても特に問題はありません。壁が杉である場合は素直に床も杉が良いでしょう。

とはいえ、大抵の場合で壁紙が張ってあると思いますのでやはりヒノキを選ぶ場合がほとんどになるとは思います。

『ヒノキって高いんじゃないの?』と思われる方も多いと思いますが産地や状態によっては杉の方が高価です。種類だけでどうこうは言えるものではありません。

パイン材は基本的に柔い材であるので床にはあまり向きません。パイン材を選ぶのであれば下地に構造用合板を挟むか、単品で使うのであれば最低でも板厚20mmくらいが欲しいところです。

…まぁ、アレコレ検討しても最終的には杉かヒノキを選ぶことになると思います。

板厚20mm以上のパインフローリング材というのは需要があまりないので安く買うことが困難です。下手をするとヒノキよりも高くなってしまうので、この場合はよほど安くないとメリットがありません。

フローリング材の厚さは原則的に12mmと15mmがありますが、言うまでなく15mmを選ぶのが正解です。数値上はわずか3mm違うだけですが、この3mmは耐久性に大きく影響します。

・フローリング材は何をどう選べばいいのか②

フローリング材の素人施工において重要になるのが「材の幅」です。これについては可能なら細いものを選ぶようにしてください。

無垢材のフローリング板幅については大きく分類すると「6cm」「7.5cm」「9cm」「12cm」「15cm」の5種類があります。素人施工の場合は最大でも9cm幅が妥当です。これを超えるような材は避けた方が無難です

細い方を選ぶ理由としては以下があげられます。

①施工上の難易度が下がる
②釘を打つ間隔が狭くなるので耐久性が上がる
③安い

どれも重要ですが、特に重要なのが①と②です。

幅が広い材はそれだけ反り・曲がり・収縮・膨張の影響を受けるため施工が難しくなります

材を垂直にカットする作業や材を平行に貼り続けていく作業というものは意外に大変です。幅が狭い方が微調整が効くので難易度を下げることが可能です。

②については作業をせずとも想像が出来るところでしょう。フローリング材の張り付けは釘打ちがメインです。接着剤はあくまでも補助的な役割でしかないため、耐久性は『どれくらい細かい感覚で打つか』で決まります。

幅が広い方が見た目として高級感が出てくれますし作業の手間も減りますが、実益を考えると狭い方が良いです。

・ワックス、オイルは施工前に塗っておく

フローリング材として無垢材を選んだ場合はワックス・オイル等を塗る必要が出てきます。

これについては「必ずしも」というわけではありませんが、表面の保護を考えると塗っておいた方が良いところでしょう。最初から塗装されているものを選ぶ場合は飛ばしてOKな項目です。

何を塗るかは人それぞれとなりますが、せっかく木材が無垢の状態であることを考えると張り付ける前にフローリング材に塗っておく方が効率的となります。施工作業中もなんだかんだで汚れる場合が多いです。


オイル系を塗る場合は臭いの問題が発生することが多いですが、先にオイルを塗ってしまえばこの問題を回避するのは容易となります。臭いが抜けてから施工すれば何の問題もありません。

木材は天然素材であるため、手元に届いた状態だとどうしても反ってしまっていたりします。こういった材を使いやすくするためにも「張り付ける前に時間を置く」というのは有効です。

・ワックス、オイルの選び方について

完全に好みで決めて良い部分ですが、木材にヒノキを選んだ場合はオイルだと臭いがぶつかってしまうことがあるのでワックス系を選ぶのがセオリーです。

「使うオイルを決めてから木材を選ぶ」という逆説的なアプローチもあります。

ワックスだと大きな変化を付けることは出来ませんが、オイルであれば木材の色を大きく変えたり、表面の質感に変化を付けることが可能になります。

最初からイメージしている雰囲気があるなら使うオイルから入るのも手です。例えばですが、カフェっぽい感じの床を作るのであればワックスでは困難です。この場合はオイルを選ぶ必要が出てきます。

木材オイルの定番商品が<こちら>です。

オイルであればこれを選んでおけば大きな失敗は無いでしょう。<メーカーの公式サイト>からサンプル品を無料で貰うことも可能になっていますので利用しない手はありません。

ワックスについては千差万別ですが、今回は<こちら>を使ってみました。

選んだ理由はこれといってありません。強いて言えば「化学成分を使っていないから」くらいでしょうか。せっかく無垢材を貼るのな天然成分のみで構成されている方が理由になります。


このタイプのワックスは塗るのにコツが必要となります。

メーカー側は「ヒノキの場合は100mlで9㎡程度散布可能」と記載していますがこれは極めて薄く塗った場合の数値です。この作業はかなり難しいので(※色の変化が小さいので塗れているかどうか確認しにくい)、これよりも1.5倍程度多く消費すると思っておいた方が良いです。

・きれいな床にするなら幅木を剥がす

どれだけ丁寧にやってもそこは素人施工、プロのようにきれいにするのは難易度が高い作業です。

しかしながら、フローリングを重ね張りする作業の場合は幅木を剥がすことによって「一見してきれい」にすることは比較的容易でもあります。

幅木というのは壁と床の境目にある薄い木の板のことを言います。


上の写真を見てもらえれば一目瞭然だと思いますが、この幅木というものは『フローリングの上に乗っかっているだけ』のものです。役割として意味が無いということはありませんが、剥がしても構造的には何の影響もありません。

フローリングの重ね張りはどうしても端部を揃えるのが難しい作業となります。


そこでフローリング板を貼る前に幅木を取り外しておき、張り付けが終わった後でもう一度上から幅木を貼れば端部を隠すことができるわけです。

幅木の剥がし方は簡単です。壁紙との境界線にカッターを入れた状態で(※これをやらないと壁紙まで剥がれる)、薄いヘラ的なものをつっこめば勝手に剥がれます。

幅木についてはフローリング板を貼った後では修正ができない部分です。今回は幅木を剥がさずに作業を行いましたが、きれいな床を目指す場合は剥がすことを前提にしておいた方が正解です。

<知識編まとめ>

ざっくり内容をまとめると以下のような感じですね。

・フローリング材はyahooショッピングや楽天が安かったりする
・フローリング材の幅は細い方が合理的
・ワックスやオイルは材を施工する前に塗っておく
・きれいに施工するなら幅木を剥がすことを前提にする

最低限これらをおさえた上で次の<準備編>に進まれてください。
 

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