これといって特別なことは書いていませんが、意外に(?)ネットで検索しても出てこない部分もあったりするので何かしらの参考にはなると思います。
必要になるパーツや使う道具については以下の記事を参考にされてください。
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道具は揃えておいた方が何かと便利です。
チューブレス化のための方法、インストールの手順について
では早速ながらはじめていきましょう。やたらと細かく書いていますが、チューブレスはこれくらいマメにやっていった方が後々の後悔がありません。① タイヤの保管跡を取る
まずはタイヤですね。タイヤは折れ曲がった状態で梱包されているので事前にこの保存跡を軽減させます。…とはいえ、これについては特別な作業が発生するわけではありません。手で馴染ませて形を整えてから平置きして一晩放置する程度です。
実際のところあまり効果があるものではないので飛ばしても問題なかったりします。
② タイヤとリムを清掃する
チューブレス導入における最重要事項といっても過言ではない部分です。タイヤ・リムはあらかじめ清掃しておきましょう。ここを飛ばすと失敗する可能性が高くなります。実際の作業は以下のような感じです。
・タイヤ → ビードの部分をシャワーで流した後でウエスで拭く
・リム → 脱脂スプレーを使って内部についている油脂を落としてウエスで拭きあげる
リム内部は思いのほか触る部分なので多かれ少なかれ油脂が付着しています。『たかが油脂でしょ?』と言いたいところですが、こういった小さいことで本当に上手くいかなくなったりするのがチューブレスです。
タイヤビードの清掃も重要です。拭きながら状態を確認しましょう。ここの精度が悪い場合はどうやっても成功しません。
③ リムテープを貼る
リム内部の脱脂が終わったらいよいよリムテープを貼ります。リムテープは可能な限り「A.スポークホールを覆える幅+2mm程度のもの」と「B.リム内幅全体を覆えるもの」の2サイズを用意してください。それぞれ一周ずつ張り合計2周します。
AとBでは必然的にAの方がテープ幅が細くなるはずです。AとBの幅の差は大きいほど張りやすくなります。リム幅が狭くて差が作れない場合は同じ幅のテープを2周しましょう。
一般的に『低圧の場合は1周で良い』とされていますが、後々失敗してやり直す手間を考えれば低圧であっても保険として2周しておいた方が良いです。
具体的な貼り方としては以下のような感じです。
①Aテープ(幅の狭い方)を選び、バルブ穴の前後で最低でも10cm以上の重ね幅を確保して強く張っていく。
②スポークホールがきちんと塞げていることを確認する。
③ウエスと脱脂スプレーを使ってAテープの上から再度油脂を取る
④Bのテープ(幅の広い方)の張っていく、バルブ穴の前後の重ね幅はAテープより長くする
⑤指でリムセンターを押しながら強く貼っていく
⑥センターが張り終わったらサイドの片側を強く押しながら貼っていく(このときはタオル等を使って隙間をぎっちり埋めるようにする)
⑦残りのサイドを③と同じように貼る
上については一例なので必ずしもこの手順で貼る必要はありません。
リムテープはとにかくしっかり貼られていることが重要なので、これをクリアできるならどんな手順であろうが些細な話です。「自分が貼りやすいように貼る」以上の正解はありません。
こればっかりは結局のところ実際にやって慣れるしかありません。作業そのものが難しいわけではないので数回もやればほとんど場合でコツが掴めると思います。
④ リムにバルブを刺す
テープを貼る作業が終わったらチューブレス用のバルブを刺します。リムテープへ空ける穴はごく小さくおさえましょう。バルブを刺したらゴムワッシャーを挟んでからナットを「しっかり」と締めます。ここが緩んでいると連鎖的に空気が抜けていく可能性があるので注意です。
⑤ リム内部に石鹸水を塗る
定番作業である「石鹸水塗り」ですね。これを行う理由は「タイヤとリム間の摩擦を小さくするため」です。摩擦が大きいと引っかかりによる隙間が出来てしまうので作業が進まなくなります。
『水を塗って大丈夫なの?』と思われる方も少なくないと思いますが、結局はシーラントを入れることになるので気にしても仕方がありません。
石鹸水の分量についてはべたべたに塗ってOKです。少なく塗って失敗することはあっても多く塗って失敗することはありません。
⑥ タイヤをはめる
ではリムにタイヤをはめましょう。この作業は素手で行ってください、タイヤの向きを間違えないことにも注意ですね。普通のクリンチャータイヤをチューブレス化する場合はここがターニングポイントです。チカラをこめることなくタイヤがリムにするっと入る場合はチューブレス化の難易度が上がります。
チューブレスはビードが最も重要です。タイヤがリムにするっと入るということは「リム長さに対してビード長さが緩い」ということになります。こうなるとどれだけリムテープをきっちり張っても側面から空気が抜けてしまう可能性があります。
『タイヤ入れるのめっちゃしんどいんですけど…』という場合はチューブレス化における勝ち組の可能性が高いです。
⑦ タイヤの上からチューブを巻く
必ずしも必要な作業ではありませんが、⑧の作業が上手く行かない場合はタイヤの上から使い古したチューブを巻くことがあります。このようにすることでリム側面に効率的に空気を送ることが出来ます。ポイントとしてはチューブはがっしりと縛ることでしょうか。ゆるく縛ると側面に空気が送る前に取れてしまいます。
ちなみにこの作業はタイヤ太さが相当に必要になるので一般的なロードタイヤの場合は不可能です。
⑧ 空気を送ってビードを上げる
いよいよポンピングです。ここで必要になるのはパワーです。筋トレ気分で勢いよく空気を送りましょう。速度も重要ですが量も重要です。一般的なポンプを使う場合は上下までしっかりストロークするようにしないと中々上手くいきません。
このときはホイールを空中に浮かせた状態にしておきます。床に立てかけている状態だとビードが変形するのでどれだけ空気を入れても抜けていきます。
チューブレスタイヤであればそれでも上手くいく場合もありますが、一般的なクリンチャータイヤを無理やりチューブレス化する場合は「吊るしておかないと作業が進まない」と考えておいた方がよいです。
室内でポンピングをする場合は空気入れの下にはマット等を敷いておきましょう。床に傷が入りますし音がうるさいです。
ビードが上がれば作業としては全体の作業としてほとんど終了になります。
MTBのようなリム幅が広いホイールの場合は3barくらいまで入れればビードが上がって「バンッ!」という音がします。この音が聞こえたらビードが上がりきったサインです。ロードホイールのようなリム幅が狭いものだとこの音は聞こえない場合が多いです。
リムによってはビードが上がってもリムの継ぎ目から空気が漏れますがこの段階ではまだ気にする必要はありません。
上手く行かない場合は以下のことを試しましょう。
・ビードに塗る石鹸水の量をさらに増やす
・タイヤビードに直接シーラントを塗る
・チューブレス対応ポンプやコンプレッサー等を使用する
結局のところ空気が漏れなければ手段はなんでもよいです。
⑨ シーラントを入れる(1)
ビードが上がってくれたのでシーラントを入れることが出来るようになりました。バルブの芯を外してからぐいぐいと流し込みます。このときシーラントはよく振っておきましょう、地味ながらも重要な部分です。
シーラントの「適量」を導くのは現実的には不可能に近い作業です。リムとタイヤの相性や品質上の個体差まで考えると、とてもではありませんがベストは分かりません。
個人的には『最低30ml』という基準を作っています。シーラントは「入れれば入れるほど穴が塞がる」というものでもありません。30ml入れた上でも空気が抜けるようであればテープの施工が悪いと判断して最初からやり直します。
⑩ シーラントを入れる(2)
30mlのシーラントで空気が抜けないことを確認したらシーラントを更に追加する場合があります。ロードタイヤであれば30mlもあれば十分ですがMTBであれば追加した方が安全ですね。追加量はホイールを回して違和感を感じる一歩手前くらいです。入れすぎた場合は注射器を使って吸い取りましょう。
⑪ シーラントをビードに馴染ませる
シーラントの量が決まったらビードに馴染ませていく作業に移ります。ホイールをゆっくりと動かしながらビード周辺に浸透させていく…という作業なのですが、実際のところこれは「気分」のようなものです。目視できないので上手く出来ているのか確認することもできません。
ただ、金属リムであれば継ぎ目部分だけは考慮しておきたいところです。「リムの継ぎ目が下にある状態にして上下に振る」くらいはやっておきましょう。
⑫ 空気を入れた状態で1日放置する
シーラントが入ったのでいよいよ空気を入れます。この時はバルブが上にある状態で空気を入れた方が良いです。下にある状態で空気を入れるとシーラントが飛び出てくることがあります。
空気が入ったらホイールを軽く回転させてから1日放置して様子を見ます。すぐさま走り出しても実際のところ問題はありませんが時間をおいて状態を確認したほうが安全です。
本来であれば空気が一切洩れないことが理想ですが、クリンチャータイヤのチューブレス化はどうしても時間経過と共にもれてしまうことが多いです。1日放置して1bar小さくなるくらいであれば十分に許容範囲です。
チューブレス化は一度やると捗ります
個人的にはMTBだけでなくロードバイクも可能な限りチューブレスにしています。チューブレスにすれば予備チューブやポンプを持ち歩くといったことをやらなくて済みますからね。…いやまぁ本当はそれでも携帯した方が良いに決まっていますけども。この辺りは色々と自己責任です。
パンク修理道具から解放されるのはとても大きな意味があります。こうなるとサドルバッグの存在すら不要です。サドルバックにパンク修理道具を入れればそれだけで300gを超える重量です。これはよろしくありません。
チューブレス化そのものによる軽量効果もあります。一般的なチューブで120gくらいの重さがありますので、シーラントを入れたとしてもここを無くせば前後100gくらい軽量化が見込めます。
「数千円の手間で500g近くの軽量化が見込める」と考えればこんなにお得なことはありませんね。
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