Thinkrider X7の使い方とZWIFTのセットアップ方法について

スマートローラーは単純な機械ではなく「電子機械」であるため、スタンダード固定ローラーのように『トルク管理だけやっておけばよい』とはなりません。場合によってはデジタルデバイスを使って設定をしなければいけません。


…というわけで、Thinkrider X7でZWIFTを使う場合の方法を説明して行きます。


・Thinkrider X7にバイクを取り付ける

何は無くともまずはバイクの物理的なセッティングを行いましょう。具体的に手順が決まっているわけではありませんが、流れとしては概ね以下のようになるかと思います。

(1) Thinkriderの脚を広げる
(2) Thinkriderにスプロケットを取り付ける
(3) Thinkriderにクイックリリースとアダプタを取り付ける(※ディスクブレーキの場合はアダプタのみを取り付ける)
(4) Thinkriderにバイクを取り付ける

脚を広げる場合は付け根にある金属部品を押せばロックが外れます。


側面にある凹んだところまで移動させると『ガシャン』とはまります。

リムブレーキロードバイクの場合はアダプタが以下のような並びになります。



ディスクブレーキの場合についてはここでは説明しませんがマニュアルにイラストとして紹介されているので問題は無いと思います。

スプロケットの取り付け方法についてはホイールと変わりません。工具を使ってぐりぐりと締めていってください。

Thinkriderにバイクを取り付ける作業をする場合は、フロントギアをインナー・リアディレーラーをトップにいれてチェーン長さを最大にしておくとスムーズです。

・PCのスペックはどれくらい必要なのか

多くの場合でノートパソコンを使うことになると思いますが、こうなると動作スペックが気になってくることでしょう。

結論から書けば、最近購入したノートPCであれば大抵の場合で最低限の動作は可能となっている…と思います。

個人的に使っているノートPCはDELLのInspiron 11(3000)というネットブックなのですが、これでもギリギリで動作はできています。たまにもたつきますがPCの方で音量をミュートしておけば気付きません。


Inspiron 11(3000)に使われているPentium N3710のCPUスコアは「1350」です。

今時これくらいのスペックのPCも珍しいので…と思いましたが、Celeron 4205U(※記事作成時において最安クラスノートPCに使われているもの)のスコアを調べてみるとN3710より下でした。

まぁ動くことには動くでしょう…たぶん。ちなみにInspiron 11(3000)全体のスペックは以下となっています。

もちろんこれは「最低限」の動作なので色々とスムーズではない部分が多々あります。とはいえ、これくらいのスペックでも使えるということは何かしらの目安になるはずです。

もしこれからノートPCを購入するということであれば最低でもCore i5-10210Uくらいがボーダーでしょうか。

理想的にはビデオカードの増設と高い排熱効率を見込めるデスクトップが最高ですが、『デスクトップでズイフト』となると部屋にある家具の設置から考えなければいけなかったりするのでこれはこれで大変だったりします。

・ThinkriderをZWIFTに繋げる

バイクのセッティングが完了したらZWIFTと繋げます。

ZWIFTは様々な媒体で使うことができますが、ここではもっとも一般的であろうPCを使ったやり方で説明していきます。

まず公式サイトからアカウントを作成してソフトウェアをダウンロードします(※ソフトウェアのダウンロードはアカウントを作成しないとできないようになっている)。

ダウンロード画面は以下のような感じですね。


iOS、MAC、WINDOWS、ANDROID、appleTVの中から選択してダウンロード開始です。

後はごくごく普通にセットアップウィザードからインストールをすると…


ZWIFTが起動できるようになります。

インストールが終わったらThinkriderの電源をONにします…といってもThinkriderにはON/OFFのスイッチが無いのでコンセントを差し込むだけですが。

この辺りの仕様に抵抗がある場合はスイッチの付いたアダプタ等を購入しましょう。


ちなみにこれはパナソニックのケーブルコードです。amazonで500円弱くらいで販売されています。

Thinkriderの電源がONになったら後はZWIFTの設定です。ライセンス承諾事項の次の次くらいに接続デバイスの画面が出てきます。


これはズイフト側で自動的に認識されるので操作は不要です。

ノートPCの場合はBluetoothがONになっていると自動的に接続されますし、デスクトップPCの場合は付属していたANT+アダプタを挿せばやはり自動的に接続されます。

本来であればここでケイデンスセンサーと心拍計も同期させますが今回は飛ばしましょう。スマートトレーナーの接続が終わったら身長やら体重やらをテキトウに入力して設定を終了させてください。


ちなみに身長体重の単位がフィート・ポンドだったりと意外に面倒です(※後から変更できるためテキトウでも問題ありません)。この辺りの単位をゆずらないところがアメリカの会社っぽい…。

全ての設定が終わるとスタート画面に移行します。


これが最初のうちはとにかく複雑で分かりにくいんですよねぇ…。今回は動作確認なので中央真下にある「ライド」を選んでバーチャルトレーニングをスタートさせましょう。


問題はライドに入ってからです。

クランクを回して「速度に対する負荷の感じ」が普段と同じようであれば何の問題もありません。バーチャルライドを楽しむだけです。

…が、『負荷がおかしい』と感じる場合は設定ツールの出番となります。

ちなみに初期設定は速度がkm表記ではないので変更した方が分かりやすいですね。



「メニュー」 → 「設定」から変更できます。

・Thinkrider toolsを使う前の重要事項

Thinkriderに用意されている設定ツールは「Thinkrider tools」というスマートフォンアプリです。

これはiOSとandroidバージョンが用意されており、それぞれのアプリストアからダウンロードできます(※両方とも評価が激低いのですが気にしない方向でいきましょう)。

ちなみにストアアプリに対するアクセスは以下です。

・androidの方

・iOSの方

まぁ、これについてはスマートフォンのアプリストア内から検索した方が早いかもですね。

Thinkrider toolsで可能なのはファームウェアアップデートとフライホイールのキャリブレーションの2つですが、まずはファームウェアアップデート「だけ」を行って試してみることをおすすめします

ファームウェアを更新することで設定が改善される場合もあるはずです。一応キャリブレーション作業は出荷前に行われているみたいですので(※マニュアルにそう書いてある)初期設定を試さないというのはこれはこれで勿体ない感があります。

・Thinkrider toolsの使い方

では具体的な使い方に入ります。

ここではiOSアプリを使って説明していきます。両方とも使ってみましたが個人的な使用感だとiOSの方がスムーズに接続できる気がします(アンドロイドだと繋がらない端末がありました)。


まずはiPhoneとThinkriderを接続しましょう。…といっても難しいことはありませんが、Thinkriderの電源を入れてiphoneのbluetoothをONにしておけば自動的に認識されます。

iPhone側のbluetooth設定から繋げる必要はありませんが、もし接続が上手くいかない場合はこれを行ってみた方が良いかもしれません。

また、一応注意事項の中に「電源をいれてから2分から3分くらい待って使ってくれ」と書いてあるので守った方が良いかもしれませんね。

後は画面を見れば分かるような気もしますが一応説明していきます。

ファームウェアアップデートは「firmware upgrade」を選べば繋がっている端末(※正確に書けば繋げることができる端末)が表示されます。


書くまでもなく「Think~」を選びましょう。

N○○○○の部分はロット番号です。実際にThinkrider本体にも同様の番号でシールが貼ってありますし、サイコン等を接続する場合の表示にもこの番号が使われます。

ファームウェアアップデートの画面はこんな感じです。


作業時間としては30秒くらいでしょうか。あっという間に終わります。

キャリブレーション作業についてはペダルをこぐ必要がなりますので予め用意をしておきましょう。

作業を開始すると以下のような画面になります。



「クランクを回して36km/hにする」という作業です。36km/hを超えたらペダリングを停止して18km/hになるまで待って作業終了となります。

動画で解説されている方も結構いらっしゃいますので一度目を通しておくと良いかもしれません。英語ですが雰囲気は分かるはずです。

これで上手くいけばよいのですが、それでも上手くいかない場合は別のアプローチを考える必要が出てきます。

・そもそも負荷とは何だろうか

具体的な方法に入る前に「負荷」というものについて一度考えてみましょう。我々サイクリストであれば誰でも感覚として理解しているはずなのですが、頭の中で整理しようとすると意外にも困難だったりするテーマです。

結果から書いてしまうと、普段重いバイクを使っている場合は少なくない確率でZWIFT内でのペダルが『軽すぎる』と感じるはずです。

これは…まぁどうしようもない部分なのでしょう。皆さん使われている自転車の重さが違いますからね。

斜度が同じ坂でもバイクの重量が違えば「きつさ」は変わります。このきつさがペダルの重さとなるわけですが、この部分は個人の感じ方ですのでW数のように数字にして一律化することができません。

…で、ズイフト内の「カーボンロードバイク」はどれくらいの重さを基準にしているのかと言いますと、おそらく重量7kg程度に設定しているものと思われます。


実際に久々にカーボンロード(7.2kg)を持ち出して確認してみたのでそこまでズレてはいないと思われます。乗るのは3年ぶりくらいでしょうか、こんなにも軽かったのかとびっくりしました。

これも当然と言えば当然ですね。

ズイフトはプロ選手だって当然に使うツールですし、ホビーライダーにしても今のご時世7kgのバイクを作ることは難しくはありません。スマートトレーナーが高額商品であることも含めれば「乗っているバイクは軽いのが普通」と至るのは道理です。

…とはいえ、こうなると我々(?)のような普段重いクロモリフレームを使う人間からするとギャップが生まれてしまいます。マイノリティは仮想世界でもマイノリティなのか。

まぁ長々と書きましたが『ズイフト内での感覚は普段使っているバイクの重さで変わってくる可能性が高いです』…という話です。

・ZWIFTで負荷を変更する方法

…というわけで、重いクロモリフレームを使っている我々(?)はZWIFTの軽い負荷に対してどのようなアプローチを取れば良いのかという話をします。

結論から書けば、以下のやり方で『重くする』ことが可能です。

① ZWIFTのパラメーター設定で体重を増やす
② ZWIFTのバイク設定でMTB(or TTバイク)を選択する
③ ZWIFTの環境設定から「トレーナー難易度」を上げる
④ セッティングしているバイクのギア比を物理的に重くする

…と、こんな感じで方法としては何とかならないこともありません。

ネットを検索すると『ACアダプタを変更すると改善した』みたいなことも書いてあったりしますが電気関係は知識が無いのでさっぱり分かりません。

ちなみにアダプタの拡大図はこちらです。


特別に珍しいものではない…ような気がします。

…で、話を戻してそれぞれについて説明をして行きます。

まずは①のZWIFT内の体重設定です。設定体重を増加させることでペダルの負荷も増やすことが可能になっています。

ちなみに体重の数値でグラフィックスも変わります。



細かいですねぇ…。

とはいえ、体重を増やせば増やすほど負荷が増えるということにはなりません。

ズイフトで体重による負荷は三段階に設定されており、これは身長体重をBMI換算して「痩せている」「普通」「太っている」の3つで分類されます。勘の良い方であればお気付きかもしれませんが、この3段階がグラフィックス上の表現とリンクしています。

つまり、グラフィックスで「太っている」状態になっている場合はそれ以上体重の数値を上げても負荷を増やすことはできないということですね。

では②に行きましょう…と言っても既に気付かれている方もいらっしゃると思いますが、既に上の画像がMTBになっています。

バイク選びをカーボンロードからMTBに変更すると負荷が重くなります。流石に体重を増やすほどの効果はありませんが、ペダルの感覚としては1割程度は重くなります。

ズイフト内でMTBを選択されている方はおそらく普段重いバイクを使われている方なのだと思います。

③が最も正解に近いアプローチです。設定内にある「トレーナー難易度」という部分を最大に近づけていくとペダルを重くすることができます


…とはいえ、これも完全な正解になるとは限りません。トレーナー難易度を上げると勾配がきつい箇所に対する負荷で違和感を感じることも事実です。

ちなみにトレーナーの負荷に関してはPCキーボードの「+」「-」からダイレクトに変更できたりもします。実際のライド中はこちらの方がスムーズですね。

最後の④はチカラ技ですね。ギア比を重くすることで物理的に負荷を強くするというやり方もあることにはあります。

ズイフトの場合はクランクの変更ですね。今現在コンパクトクランクを使っていたりするのであればノーマルクランクに変えてみたり、或いはチェーンリングを60Tにしてシングル化したりすると…それはそれは重くなります。

ただ、これは『ローラー台専用のバイクがある』ということが前提になってしまいますので場合によっては不可能となります。

負荷変更についてはまずはトレーナー難易度を変更しながら感触を確かめていきましょう。

・ZWIFTに何を求めるのか

個人的には「トレーニングツール」であるので、体重パラメーターがズレていようがグラフィックスがMTBであろうが気になることはありません。W数とペダルの負荷が正しく出ていれば他は些細な話です。

軽量なカーボンロードバイクをメインに使用されている場合はこのあたりのズレが小さくなるので何も考えなくてよいかもしれませんが、大なり小なり「自分はズイフトに何を求めるのか」ということを決めておいた方が色々とすっきりしそうな感じはします。

ZWIFT全体の使い方については以下の記事を参考にされてください。

<関連記事>
ZWFITの色々についてまとめ

ここに全ての内容をまとめています。
 

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